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  東山魁夷展の帰り道

国立新美術館で開催されている東山魁夷展を見てきました。

これまで何度となく開催されていて、過去に3回は回顧展を鑑賞し、そのつど流石だなぁと思ってみてきたが、今回はその中でも最も沁みた。

風景画家として開眼した「残照」から、「道」など、作家の代表作を同じような位置に配置してその変遷をわかりやすく見せてくれた展示方法も素晴らしく、東山魁夷の誠実さ、絵に賭ける執念、自然の奥深さを見つめる目に圧倒された。唐招提寺の「山雲」「濤声」等も本来の配置を再現してあり、見応えあり。あれは日本の宝だと確信。

しかし、あの優しい色と、シンプルな構図から、なぜこれほどの熱を感じるのだろう。

「道」の砂利ひとつひとつに、「濤声」の波のうねりに、掛けた準備と観察の時間、自然の声を聴く感受性を感じた。

でも、一番は覚悟なのかな、と感じながら、自分は自分のできることを直向きにやろうと考えた帰り道。

自分の「道」ができるまで、歩き続けよう。今はまだ迷っているのだとしても。